売るために書く文章の先には、お客様がいます。
お客様と言っても、会社によって対象客は異なります。
対象客が異なれば、ニーズも伝えるべきメッセージも変わってきます。
売れる文章を書く秘訣は、お客様のことを常に考えることです。
お客様は誰なのか?どんなニーズがあるのか?
そして自社の商品は、お客様のニーズをどのように満たすことができるのか?
それらを考え、文章を書きます。
売れない文章を書く人は、お客様のことを考えていません。
自分の言いたいこと、商品自慢しか書いていないのです。
それでは伝わりません。
文章の出発点は、常に相手。つまり、お客様です。
お客様を出発点に考えることで、何をどう書けばいいのかが見え、売上に繋がる文章が書けるのです。
コピーライティングは、テクニックで書くものだと思われています。
何か特別な書き方や言葉があって、それを使えば商品が売れる、と。
確かに、テクニックは存在します。
しかし、テクニックに頼った文章を書いていると、大切なものを見失い、お客様の心に響かない文章を書いてしまうのです。
世の中には、文章テクニックを教える人がいます。
教えられた人たちは、皆、同じような文章を書くようになります。
テクニックで書いているのですから当然です。
そこには個性はありませんし、何より心がありません。
それで売れたとしても一時的です。
長期間、売れ続けることはありません。
私の元には、「昔は売れていた販促物なのに、今は全く売れない」という相談がきます。
販促物を添削すると、やはり昔流行ったテクニックで書かれています。
長い見出し、煽るような文章です。
相談内容も、「どんな書き方がいいのでしょうか?」です。
何か違うテクニックを使えば、また売れるようになると思っているのかもしれません。
しかし、それは間違いです。
お客様の悩みや気持ち、感情や思考を感じ取ろうとする姿勢がなければ、心に響く文章は書けません。
その姿勢がなければ、どんなにテクニックを学んでも、テクニックに振り回されるだけです。
心の入っていない文章では、お客様を動かすことはできません。
本気でお客様のことを考えた先に、売れる文章があるのです。
商品を売るために表現を強くする方法があります。
表現を強くすれば商品を魅力的に見せることはできますが、同時にお客様の期待値も上がります。
商品を購入して期待通りでなければ、お客様は満足してくれません。
不満足を提供する会社とは、今後、取引したくないと思うのが心情です。
そのため、1回限りの取引で終わってしまいます。
表現を強くすることで売ることは可能ですが、売れ続けることはできません。
売れる文章を書くのではなく、売れ続ける文章を書くことが大切です。
文章にも、商売の姿勢が表れるのです。
お客様が買っているのは、商品ではありません。
買っているのは、新しい自分と、新しい世界です。
商品を使い、悩みが解決した自分。
商品を使い、悩みが解決した世界。
そんな未来に期待を膨らませながら、商品を購入しているのです。
商品を売る者として、しっかりと教えてあげましょう。
お客様が得られる、新しい自分と、新しい世界を。
それが、どんなに快適で、どんなに素晴らしいものなのか。
どれだけ人生が充実し、毎日が楽しくなるのか。
それを教えるのが、売る者の使命なのです。
そして、お客様も待っています。
あなたから教えられる、新しい自分と、新しい世界を。
販促物を送った先のお客様から、お礼状が届いたことはありますか?
私は、何度もあります。
お礼状は、商品を購入できなかった方からも届きます。
内容は「このたびは、ご案内を頂きありがとうございます。諸事情があり、購入することができません。ですが、貴社の心遣い感謝いたします」というものです。
私もはじめは不思議でした。どうして、このようなお礼状が届くのかと。
経験を重ねるうちに分かってきました。
それは、本当に自分のことを想って作られた販促物だ、と感じたからです。その想いに対してのお礼状なのです。
商品を購入できるお客様は、購入という形で感謝を伝えられますが、商品を購入できないお客様は、お礼状という形で感謝を伝えたてきたのです。
お礼状が送られてくることほど、ライター冥利に尽きるものはありません。
時々、数ヶ月、数年前のチラシを見て注文してくる人がいます。
通常、チラシの反応があるのは、捲いてから1週間ほどです。
それ以降は、ほとんど反応はありません。
それが、良いチラシになると長期的に反応があります。
お客様は「いつか読もうと思った」「取っておこうと思った」と口にします。
チラシに、「いつか必要になるんじゃないか?」と思わせる文章が書かれているからです。
人の心に響く文章は、長く読まれ、反応を取り続けることができるのです。
文章さえうまく書ければ、それで売れるわけではありません。
見せ方や届け方で気を抜くと、すべてが水の泡になります。
たとえば、DMが送られてきたとします。
宛名ラベルは曲がっており、封筒もボロボロ。
中身は、ただ資料やチラシを入れてあるだけで、順番に工夫もない。
チラシは三つ折りされていますが、折り目が曲がっている。
これでは、どんなに良い文章が書かれていたとしても、効果は半減します。
受け取ったお客様も、なんだか粗末にされている気分です。
文章は書いて終わりではありません。
お客様の手元に届き、読まれるまで気を抜いてはいけないのです。
販促物に書かれている言葉は、すべて約束です。
別の言い方をすれば、責任です。
「○○という効果があります」、「○○というメリットを提供します」も、お客様との約束であり、責任なのです。
お客様との約束を守れた分だけ、信用がつきます。
それがいつしか、ブランドに繋がるのです。
お客様との間で守れない約束は書かないことです。
書く以上、責任が伴います。
文章を書く者は、言葉の責任を持たなくてはいけないのです。